探し物の起源
むかしむかし あるところに
探し物をしている男がいました
男は何年も探しつづけるうちに
やがて
何を探しているのか
忘れてしまいました
しかし
それでも探し続けていると
やがて男は
自分が何をしているのか
忘れてしまいました
そこで
自分が何をしていたのか考えていると
やがて男は 自分の名前を
忘れてしまいました
そこで
自分が誰だか考えていると
やがて人々は 男のことを
忘れてしまいました
しかし
人々は忘れたことが気になって
それが何なのか 考えはじめました
人々は考えつづけたあげく
とうとう 忘れた何かを
探しはじめました
人々は探しつづけました
何年も 何十年も 何世紀も
このようにして
まさに今 この瞬間も
どこかで だれかが なにかを
探しているのです
男の名前はアダムといいます