虹の下で
わたくしがお世話になった方に
お孫さんが生まれました
小さな命が生まれると
わたくしはいつも
まど みちおさん の詩を思い出します
ちいさな子が
空に きれいな虹を見つけて
ママにせがむのです
虹
まど みちお
にじ
にじ
にじ
ママ
あの ちょうど したに
すわって
あかちゃんに
おっぱい あげて
†
おかあさん
どうぞ あかちゃんに
虹の下でおっぱいを
あげてください
虹のゆりかごは七色です
風も 花も 鳥も 猫も
人も 街も 声も 愛も
みんな みんな
おおきな虹の下をくぐると
七色のお化粧をするから、
まばゆくて
にぎやかで
うつくしくて、
きっと あかちゃんも
ちいさな
七色のほっぺで
よろこぶから……
†
ちいさな命が生まれた日
さまざまな命が集まるこの場所
さみしい命がつぶやく夜
わたくしは
石や水や風でなくてよかった
わたくしにも
命があってよかった
命は得られたときと
失われたときに
その大切さがあらためて
よくわかるのかもしれません
ありがたい友人たちにも
やさしくしてくれる人にも
そしてわたくし自身にも
命があってよかった