そーゆーブログ2

ことばを愛するブログです。たとえば詩歌を、書物を、ひとりごとを。おそらく深夜に、休日に、こっそりと。

八木重吉「虫」

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 八木重吉

 

虫が鳴いている

いま ないておかなければ

もう駄目(だめ)だというふうに鳴いている

しぜんと

涙がさそわれる

 

詩集『貧しき信徒』

 

※ 八木重吉(やぎ じゅうきち)

  明治31年(1898年)ー昭和2年(1927年)

  日本の詩人。英語教員。29才没(満年齢)

 

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さみしい猫のお話 他1篇

 

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さみしい猫のお話

 

あなたは

こころのなかに そっと

さみしい猫を

飼っていらっしゃいますね

 

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さみしい谷のメロディー

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さみしい谷のメロディー

 

今夜は、もしよろしければ、さみしい谷に住む、さみしい男の話を聞いていただけますか。

 

この深い谷には特に見るものもなく、旅人が立ち寄ることも、馬車が通ることも、めったにございません。そんな谷に、この若者はたった一人で住んでおります。

 

ええ、男には家族も友達もおりませんし、この谷には、男になついてくる動物たちさえいないのです。

 

この男は、涙のかたちをした小さな湖のそばに小屋を建て、畑を耕して暮らしております。

 

男は畑仕事に疲れると、ときおり湖のほとりに座って、静かに耳をかたむけます。

 

すると、手のひらに乗るくらいの小さな風が、そっと水面をなでていく音が聞こえたり、大きくてまっしろな雲が、お日さまの光をつるんとはね返す音が聞こえたりするのです。

 

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たまねぎをむく男

静かな夜には、ひとりで

ちいさなお話を考えたりします。

ええ、さみしい夜の

ことばあそびです……

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たまねぎをむく男

 

 その男は

恋人を失ってからというもの

自分の部屋にとじこもって

まいにち まいにち

朝から晩まで

たまねぎをむいていました。

 

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千年かくれんぼのお話

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千年かくれんぼのお話
 

かくれんぼの

いいところは

居場所はわからなくても

まちがいなくどこかに

相手がかくれている

というところです

 

かくれんぼの

さみしいところは

相手の名前を

いくら呼び続けても

けっして こたえてくれない

というところです

 

いるかどうか

わからない相手を探す

かくれんぼ

 

顔も名前も

わからない相手を探し続ける

かくれんぼ

 

人の一生は

さみしいかくれんぼに

似ているかもしれません

 

 

   ☨

 

 

そうですか

わたくしのことを

探しておられましたか

何年も 何十年も

 

奇遇ですね

わたくしもあなたを

探しておりましたよ

生まれる前から

 

もう離れないように

ふたりの寿命が尽きるまで

手をつないでいましょう

 

おたがいの寿命が

尽きましたら

また始まりますね

 

ふたりだけの

長い長い かくれんぼが

 

ふたりでおたがいを

探し合う かくれんぼが

 

来世では すぐに

あなたに見つかるように

世界一さみしい顔をして

あなたを探しますから

 

世界のどこにいても

あなたに見つかるように

 

わずか一日でも早く

あなたに見つかるように

 

世界一さみしい顔をして

あなたを探しますから

 

 

 

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星と言葉のお話

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星と言葉のお話

 

静かな夜です……

 

それはさみしい映画でした

「詩人が愛を知ったのは

虎の子が血の味を知ったに等しい」

 

その映画の中で

有島武郎与謝野晶子

そう伝えました

 

一矢で龍の眼を

射抜くような言葉です

 

そんな するどい言葉が

この世界に突然

生まれ落ちてくることがあるようです

この宇宙に突然

あたらしい星が誕生するように

 

もしかしたら

巨大なエネルギーを持つものが

人の上空に誕生すれば星に

人の胸中に誕生すれば詩に

なるのかもしれません

 

天文学詩学

同根の学問かもしれない

わたくしはこっそり

そんなふうに考えております

 

とおくで とおくで

星のまたたく音……

それ以外には

なぁんにも聞こえない

 

ええ、今夜もそんな夜です

 

 

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はじめましてのごあいさつ 他2篇

 

こんばんは。はじめまして。

 

ブログを始めたばかりの新参者です。ブログに関して、かなしくなるほど、知識が浅く、経験も不足しております。ゆえに、この場でどのように振舞ってよいのかも、よくわからない状態でございます。

 

とはいえ、この場所に参加させていただく以上は、人として、ご挨拶だけは、しておかなければならないと思い、このような文章を書いております。

 

無知ゆえに、なんらかのエチケットに反する行為を、わたくしは行うかもしれません。そのような際は、ご叱責の上、ご指摘願えれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 さて、それでは深夜にひとり、綴りましょう。今夜も静かな夜です。

 

 

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 樹木より眠らない人

 

静かな夜です……

 

魚は泳ぎながら眠り、

木は立ったまま眠り、

人は寄り添って眠り、

 

夜はいつもその姿を

やさしく見守るのです

 

樹木よりも眠らぬ、

かたくなな者

 

昼と夜の規範に従えない、

さみしい者

 

それがわたくしなのでしょうか

 

月明かりを映す、

子猫のちいさな瞳の光で

書物の頁をめくり、

 

だれよりも命の短い、

煙草のけむりで

今夜もさみしい手紙を書くのです

 

 

 

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草花の中で

 

夜と影とあなたの髪は

なぜ同じ色をしているのでしょうね

 

月明かりのない夜に困るのですよ

 

あなたの髪にふれているのか

あなたの影にふれているのか

それとも夜にふれているのか

 

わからなくなるから

 

    ☨  

 

キンポウゲ科宿根草

クリスマスローズ……

 

まだ覚えていますよ

口の中で何度もつぶやいて

覚えましたから

重要英単語のように

 

冬の庭にひっそりと

うつむきかげんに咲く種類が

私も好きでしたよ

色は、そう…緑

 

あなたは人の名前よりも

花の名前をたくさん

覚えていましたね

 

私の名前を

今も覚えていますか

 

    ☨

 

「壊れやすいガラス」が

朝」であるなら

 

「冷たい鉄道」が

「血」であるなら

 

「草花」はあなたにとって

 何の隠喩だったのですか

 

あなたの「草花」は

もしかしたら、

私の「夜」……

だったのでしょうか

 

あなたはさみしく

草花の中で生きていた

 

 

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