そーゆーブログ2

言葉と夜と本たちと

太陽が鳴いて鳥が昇るまで

一人称が「おれ」だった時代が、

わたくしにもありました。

過ぎてしまえば、何もかも言葉に変わってしまいます。

消えるわけでもなく、流れ去るわけでもなく、言葉に。

 

言葉なんかおぼえるんじゃなかったと、

詩人の田村隆一は書きましたが、

わたくしは言葉をおぼえてよかった。

わたくしの肉体がこの世界を去っても、

わたくしの心も、記憶も、時間もすべて、

言葉に変えてこの世界に残していけるから。

この世界に残った愛する人のために。

 

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太陽が鳴いて鳥が昇るまで

 

ああ、そうだよ、ボードだよ

サーフボードのボード

うん、ボードレールっていう、へんな名前だよ

そのボードっていう詩人はね、女の髪のなかに

ひとつの、おおきな海をみたんだ

 

ブコウ……いや、グコウじゃない、ブ…

…ブーツのブだよ、そう、

そのブコウスキーっていう詩人は

女の尻に天国をみたんだ

 

なぁ、おれは、ときどき

きみのその赤い髪の中に

身投げしたくなるんだ

いや、いい意味でさ…

 

それとか…さ…

世界に一つしかない、

きみのその尻の下で

アベマリアを三回くらい

うたってみたいとも、おもう

うん、アメリカの流行歌だよ

 

いや、あの老人みたいに…

その赤い海に小舟をうかべて、

巨大な人食いザメとたたかってもいい

 

ねぇ  しってるかい?

老いた漁師が…

…そう魚をとるほうの、リョウシが、

どうもうな人食いザメとたたかう話をさ

 

しらない?  じゃあ …

これから、はなしてあげるよ

だいすきな話なんだ

この話はノーベル賞をとったんだよ

 

でもその前に

もう一杯コーヒーをくれないかい

朝まで、はなすかもしれないからな

 

そのあと、

太陽がないて鳥がのぼったら、

おれたちは

ビワの実のようにだきあって、

四つの目を全部とじるんだ

 

そして二人で

ライオンの夢をみよう

漁からかえった老人のように

 

なに、わらってんの?

おれ、へんなこといった?

酔いはもう、

さめてるんだけどなあ……

 

……あぁ…雨の音がきこえる

雨は、いいね…

 

あのさ、雨がふるとさ、

おれはいつも空をみあげるんだ

 

ときどき、ね…

空からおちてくる雨のひと粒ひと粒が

きみの顔にみえることがあるんだよ

 

うん、そうだよ…たくさんの、

ちいさな水たまりに、

うつってるみたいに……

 

……うん、すこしでいい

砂糖はいらない

雨はそのままでいい

 

 

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