虹の下で

わたくしがお世話になった方に

お孫さんが生まれました

小さな命が生まれると

わたくしはいつも

まど　みちおさん　の詩を思い出します

空が世界でいちばん大きな図書館

たとえ、誰も推薦しない本であろうと、

もう書店の棚に

並ぶことがない本であろうと、

今から2400年前に書かれた本であろうと、

銀河系と花束のお話

もしも

貴女が生まれ変わったら

きっと　

この銀河系でいちばん美しい花束に

なるでしょう

母の肩をたたきながら

 

遠くで暮らす母を思い出すと

せっけんの匂いがしたり

まな板の音が聞こえたり

遠足のお弁当の味がしたり 

夜に降る雨のお話

夜に降る雨はうつくしい

夜空を飾るものに

やさしくふれながら

地上に落ちてくるから 

さみしい猫のお話 他１篇

さみしい谷のメロディー

 

今夜は、もしよろしければ、さみしい谷に住む、さみしい男の話を聞いていただけますか。

この深い谷には特に見るものもなく、旅人が立ち寄ることも、馬車が通ることも、めったにございません。そんな谷に、この若者はたった一人で住んでおります。

ええ、男には家族も友達もおりませんし、この谷には、男になついてくる動物たちさえいないのです。

この男は、涙のかたちをした小さな湖のそばに小屋を建て、畑を耕して暮らしております。