そーゆーブログ2

言葉と夜と本たちと

耳をかたむけてくださる人 他2篇

 

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夜に聞く音

 

風音・・・夜風がどこかで生まれる音

煙音・・・たばこのけむりが揺れる音

星音・・・星が夜空をそっと流れる音

月音・・・月がほんの少しかたむく音

夜音・・・夜がゆっくり老いていく音

心音・・・胸の奥底で鳴るさみしい音

 

 

        

 

 

夜を生きている

 

雨が降れば

町が濡れるように

 

雪が降れば

草の色が変わるように

 

星が降れば

子猫の瞳が光るように

 

夜が来れば

言葉が水のようにあふれる

 

詩でもなく

血でもなく

歌でもなく

涙でもなく

 

言葉があふれて

液体の速さでながれおちる

 

雨を、町を、雪を、草を、星を、猫を、詩を、血を、歌を、涙を、

その中に深く沈めて

わたくしは夜を生きている

 

 

       

 

 

耳をかたむけてくださる人

 

あなたは わたくしの言葉に

耳をかたむけてくださる


月でもなく 海でもなく 蜜でもなく

煙草のけむりよりも

かたちを持たぬもの

 

花でもなく 雪でもなく 星でもなく

煙草のけむりよりも

いのちの短いもの

 

それがわたくしの言葉

 

わたくしの言葉はこうして

いくつかの文字になり

あなたが住む町へ

今夜も静かにたどりつく

 

花の色はきっと

花を見るひとの目が決める

言葉の色もきっと

それを読む人の心が決める

やさしいのは

わたくしの言葉ではないのです

やさしいのは きっと

きっとあなたの心なのです

 

もしかしたら

あなたの空のような目に洗われるから

わたくしの言葉から

サソリや毒蛇や山犬が

離れていくのでしょうか


そう そっと

あなたが草花のように

わたくしの言葉に

耳をかたむけてくださるから

 

そう ずっと

あなたが空の目で

その耳も 髪も 心も

かたむけてくださるから

 

 

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